ウォールアートの現場

壁画、デザイン塗装、オブジェ、アート看板などのウォールアートで建物の外観イメージを演出。ウォールアートのデザインや制作の現場をレポートします。

土浦市・大和町公民館の山車蔵に浮世絵のシャッターアートが完成

シャッターアートの制作で一番 ネックなのは、シャッターの形状です。
大別すると、軽量シャッターと重量シャッターがあり、軽量シャッターは起伏が緩やかですが、重量シャッターの場合は起伏が大きくかつフラットな部分がないものが多く、手間も2倍以上かかることがあります。
今回のシャッターは、高さが5mで大型なのと、電動式なので重量シャッターです。
ただ、以前のものと比べると最新型なので、溝は深いものの、フラットな面があるので、かなりマシでした。

シャッターの形状に加えてネックになるのが、絵柄に線やストライプが多いことです。
今回は、着物の柄に大小の幅の斜めのストライプに苦戦しました。
シャッターの凹凸の上に、縦や斜めの線を引くのは、何度経験しても、毎回骨が折れます。

公民館 山車小屋 シャッターアート 浮世絵

公民館のファサード全景

公民館 山車小屋 シャッターアート 浮世絵

写楽の浮世絵を模写したシャッターアート

公民館 山車小屋 シャッターアート 浮世絵

シャッターの凹凸に沿って描かれた壁画

公民館 山車小屋 シャッターアート 浮世絵

顔のアップ









イチゴの立体造形看板の制作プロセス

イチゴ農園からの依頼でイチゴの立体造型看板を作ることになりました。

立体造形の表面の材質は、FRP、ウレタン、モルタル樹脂の3パターンありますが、

今回はその中でも最も簡易なウレタンを使用します。

 

まずは、発泡スチロールを外形の形に切り抜きます。

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これを、カッター、ワイヤーブラシ、サンドペーパーなどを使って、イチゴの形に削っていきます。(この工程の写真を撮るのを忘れてしまいました。失礼)

 

イチゴの形ができたら、次はつぶつぶを表現します。

ちょうどいい形とサイズのルータービットを見つけたので、それを使うことにしました。

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なんとかイチゴらしい感じになってきました。

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削り出した発泡スチロールにスタイロタンというウレタン樹脂を吹き付けてコーティングします。(吹きつけ作業工程の写真も忘れてしまいました)

 

これで表面も強度がアップし、雨や直射日光などの耐候性もバッチリです。

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次は塗装です。

一般的には下地処理に密着バインダーを塗るのですが、過去の経験からあまり信用性がないので、サンドペーパーで目粗しをします。

着色用の塗料は、水性を使うことにしました。

油性塗料を使うと、表面の小さな巣穴から塗料が浸透し、発泡スチロールを溶かしてしまう恐れがあるので用心のため水性を使用することが多いです。

最後に、UVクリアでオーバーコートして完了です。

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取り付けは、看板屋さんにお願いしました。

 

後日、出来上がりをチェックするために、現場に足を運びました。

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いい感じです。

いつもアトリエで完成した作品を見て、もう少しああしたいこうしたいと不満があるのですが、設定してから改めて見ると馬子にも衣装という感じです。

施主様ともご挨拶をして、感想や意見をお伺いしました。

田んぼの中に建つビニールハウスに設置されたオブジェ看板は、ちょっと意外性があって人目を引くようで、営業開始前からお客様が押しかけたそうです。

新たな地域の名所になればいいですね。

 

 

 

 

 

 

 

 

ドームハウスが深谷市のキャラクター「ふっかちゃん」に変身!

ドームハウスのこと

埼玉県深谷市にオープンしたドームハウス展示場です。


台風や地震、積雪に強い球体の家で、最近、急速に普及しているようです。
発泡スチロールでできているので断熱効果が高く、室内の空気が自然に対流するので冷暖房の省エネ効率も抜群です。
構造上ワンルームなので、観光案内所、イベントハウス、別荘、売店、幼稚園のプレイルームなどに利用されているそうです。
せっかく丸〜い形のユニークで遊び心のある建物ですから、外装も無地じゃもったいないですよね。
球の形を利用して、サッカーボールとかスイカとかに見立ててもいいいし、迷彩柄や面白い模様にして個性をアピールしたいところです。

球体の建物に壁画を描くのは超ウルトラC

 今回は、あの「ゆるキャラグランプリ」で2位に輝いた「ふっかちゃん」のまち深谷市にちなんで、ドームの形を「ふっかちゃん」の顔に見立てることになりました。

ところが、仕事を受けてから問題続出!
壁が球体なので、原稿をトレースすることはできません。
正面から見た状態で「ふっかちゃん」を正確に再現しなければならないのですが、実際には球体なので中心から外に向かって大きくゆがんだ状態になるのです。
実は、トリックアートなのです。
下絵を描く方法を考えるのに時間がかかりました。
結局はフリーハンドでやることにしました。

ドームハウスに壁画制作中

マスキングテープで下描き

ドームハウスがふっかちゃんに変身

ふっかちゃんの壁画が完成

球体に立体造形を取りつけるのは超ウルトラD

問題はもう一つ。
ふっかちゃんの絵に合わせて、ネギの形をした角を作ることになったのです。
角の大きさが太さが直径60センチ、高さが180センチと巨大なものです。
しかも、球体の表面に接着させなければならないので球面の接着面を作らなければならないこと、それが「ふっかちゃん」の絵とジャストフィットして、角の向きも自然であることが要求されます。
事前に現場に足を運び、発砲スチロールで型合わせをすることにしました。

ドームハウスがふっかちゃんに変身

ドームの球面に合わせてネギのゲージを作成

問題はまだまだ。
現場でいざ、ネギの角を取りつける段階でまたしても大きな難関が待ち受けていました。
20センチもあるドームの壁に、球の中心に向かって穴を開ける作業です。
しかも、壁の裏から固定する球面の部品が厚さ20センチなので、実際には50センチもの長い穴を正確な位置に正確な角度で開けなければなりません。
ドリルの歯は、最大30センチしかありません。
そこで、手製で90センチのドリル歯まで作ることになりました。

ドームハウスがふっかちゃん変身

壁の裏でネギを固定する部品

 

ドームハウスがふっかちゃんに変身

取り付け前のネギの角

ドームハウス ふっかちゃん

ネギの全ネジが壁を貫通して裏側で固定

 

現場で悪戦苦闘すること半日。
ようやく、角も付いて完成です。

ドームハウスがふっかちゃんに変身

完成した「ふっかちゃん

現場の冥利

予想以上の出来でした。

やった〜!!って感じでした。

正に出口の見えない地獄から解放されたという感無量の気持ちです。

でも、出来上がった「ふっかちゃん」を見た人には、こんなに難易度の高い作品だとは誰も思わないでしょうね。

通りがかりの人は、「わ〜っ、すごい」とか「かわいい」と一応に反応はしていきますが・・・・。 

粕壁宿の旧壁画を復元しました。(会田建具センター)

壁画を描いた建物が老朽化で取り壊しに

粕壁宿景観再生プロジェクトの一環で、2011年11月に制作した会田建具センターの壁画。
残念ながら、建物取り壊しのため姿を消すことになりました。
ところが、オーナー様の粋な計らいで、すぐ近くに新しく建った新社屋の壁に同じ絵を復元することになりました。

新しい建物に壁画を復元

お盆休みの期間中に着工したのですが、あいにくの長雨で雨の間を縫って制作。
18日からは、目の前ではふるい建物の解体作業が始まりました。
なんと28日(月)に、建物の解体・整地工事が完了し、壁画も同時に完成しました。

 

2012年に粕壁宿景観再生プロジェクトとして描いた壁画

春日部市 シャッターアート 宿場町再生

2012年に描いた「会田建具センター」の壁画

2017年に新しい建物に再現された壁画

春日部市 シャッターアート 会田建具センター

2017年に再現された「会田建具センター」の壁画

 

建物の縦横比が以前と変わったので、調整しました。

前の壁画は県道に面していましたが、新しい壁画は生活道に面しているので足を止めて、ゆっくりと見て話しかけてくれます。

ほとんどの車が、絵の前で停止したり徐行しながら絵に目を向けてくれます。

前より建物が小さくなって、壁画も小ぶりになりましたが、見晴らしがよくなり、歩行者との距離感も近くなって、住民の反応は逆に凄いです。

すぐ近くにある神明神社の火消し祭りをテーマにした絵であることや纏に書かれた文字が江戸時代の粕壁宿の町名であることを伝えると、絵の見方まで変わったようです。

この壁画が、この場所に根付いて地域の方たちに愛されていくんだなという実感が湧いてきました。

 

 





アールシーコアのショールーム壁画サンプル制作

とてもユニークな住宅メーカー「アールシーコア」さんのショールームです。

「住む住宅」ではなく「楽しむ住宅」というコンセプトで、自然体で自分らしい暮らしを楽しむソフト志向型の住宅を提案している会社で、ベーシックでありながらとても個性的で楽しい家ばかりです。

 

ビッグアートも、アートを美術館やギャラリーから連れ出して、まちやお店や住宅の中でもっと気楽に自由に楽しんでもらう手段として広げていきたいと日夜活動しています。

「まちは劇場。まちはミュージアム。」というキャッチフレーズを15年前から叫び始めたのもその一端です。

 

今回は、館内に展示される壁面アートのサンプルを現場で制作しました。

住む人が自ら自分の家をペインティングして楽しむためのモデル作品なので、

特殊な技術を必要とせずに色やデザインを楽しんでもらえるような素朴でシンプルなものです。

私たちも、素人になった気分で楽しく色と遊ばせてもらいました。

何よりも、めざすゴールがアールシーコアさんととても近かったので、

とても楽しくのびのびと仕事させていていただきました。

 

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看板というより立体的な壁画です。

埼玉県深谷市にある桃園保育園です。

壁が無表情で、一見すると老人施設と間違えそうでした。

せめて、エントランスまわりだけでも壁画で幼稚園らしく、

楽しい演出をしたいという園長のご希望でした。

ジョリパットの質感と濃い珊瑚色は、壁画とかち合ってしまいます。

そこで、立体的なレリーフで壁画的な表現を試み、かつエントランスのメイン看板を兼ねることにしました。

レリーフというと、本来は浮き彫り的な表現で、平面の絵を盛り上げるだけなのですが、今回は初のチャレンジで、パーツを別々につくって組み立てるというとても面倒で複雑な制作方法を選びました。

ただ盛り上がっている表現より、ひとつひとつのパーツの存在感があり、迫力もあるからです。

小さなパーツを組み立てて動物や汽車やリボンなどが出来上がり、それをまた大きな楕円形のベースに固定していくのです。

着色も色数は30色以上、ベースの木目も絵画技法でリアル感を出しました。

看板でありながら、できるだけ壁画的に楽しく見てもらうために、

木目のベースから動物や花やリボンがはみ出す表現や汽車の煙突から出た煙を分離させることで、絵の世界が壁に広がっていくように工夫しました。

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細かいパーツを組み立てて着色しました。

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このリボンも9つのパーツでできています。

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木目もご覧の通りリアルに描きました。

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完成するとご覧のようにまるで積み木のようです。

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設置完了!小さくても迫力があります。

カラフルで楽しさ感もバッチリです。

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オシャレなデザイナーズアパートに書き文字をあしらう

埼玉県草加市にある女性専用のデザイナーズアパートLa Rochelle。

草加駅からは徒歩10分以上にも関わらず、完成と同時に満室という人気ぶりです。

看板や植栽などもまだこれからなので、実はまだ未完成な状態です。

壁にしゃれた演出をしたいということで、書き文字を入れることになりました。

外壁には、「Welcome to La ☆ Rochelle」でおもてなし。

玄関ホールには、「Have a good day」と住人たちの外出や帰宅時の軽いごあいさつ。

現場で制作中にすれ違う若い女性の住人の皆さんも、心なしかとても生き生きとしていました。

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